新春特別企画

SandGate VP 開発者の素顔に迫る

2005年11月7日にソフィアシステムズより発表された、SandGate VP は、いままでにも「組み込み機器」という観点でSandGateシリーズに注目していた業界のみだけではなく、広く一般にソフィアシステムズの名を知らしめることとなりました。

Skype Day in Japan 2005 という舞台で発表し、実機のデモンストレーションも行ったこともあって、ITメディアのみならず一般メディアにも広く掲載されたのは皆さんもすでに御存知のことと思います。

そこで、これってどういう人達が作ったんだろうという興味が湧いてくるのは自然なことではないでしょうか。と、いうわけで、XScale-freak.com 事務局がみなさんの興味を代表して、川崎市にありますソフィアシステムズさんを訪問し、技術者の方にインタビューしてまいりました。

会議室でインタビューの準備をしていると、開発者の方が、いろいろな機材とともに、SandGate VP をもってきて下さいました。早速手にとってみると・・・普通の携帯のようです(感想になってませんね)。各種メディアの記事でも普通の端末感覚ということは予想しておりましたが予想以上に普通です。

製品の提供形態としては、いわば、開発環境なはずですが、とてもそうは見えません。このまま使えそうです。こういう言い方が微妙かもしれませんが、SandGateII-Pのときは、もっと開発環境然としていた記憶がありまして、こう、スッキリとしたものが出てくると拍子抜けというか、純粋に驚いてしまいました。

それでは、インタビューを開始します。みなさん、よろしくお願いいたします

本日は、開発本部 開発部の保坂様、浅田様、狩野様にお越しいただきました。よろしくお願いいたします(左:浅田様、中央:保坂様、右:狩野様)

早速ですが、まるで普通の携帯ですね。

そうですね。こちらにも持ってきておりますが、SandGate VPのいわば前身にあたる SandGateII-Pを出したときも、今回には及ばないものの結構な反響がありました。

私もIDFで触らせてもらったとき、VoIPで通話させていただきまして驚きました。

そこで、ここまでできるのであれば、もっと実機に近いものを出して欲しいという、お客様からの要望がありまして、今回のSandGate VPというコンセプトモデルを開発し、発表することとなりました。

ところが、実機に近づけすぎたのか、自社アプリを載せて、このまま使いたいというような反響をいただきまして、開発者として嬉しいのと同時にちょっととまどっているところもあるんです

CFスロットにPHSカードを差せばそのまま使えそうですね

はい、使えます。普通に通話できますよ。 実際にそのようなお客様の御要望もあります。会社内では無線LAN VoIP 端末として、外ではPHS として使いたいというものです。

すると、SGVPには 050 番号を振るのですか?

そうですね。内線のみでの活用も考えられますが、会社内という前提でしたら、ゲートウェイを置くことも充分可能でしょうから、社内では、050 でダイヤルイン、外では、070でPHSとして着信ということになるでしょうね。 その構成であれば、すでにデモンストレーションを行ったこともあります。

ちなみに、カメラも両面に付いていますので、なにかを撮るだけではなく、テレビ電話もできますよ。

しかも Windows CEが既に動いているから、自社アプリを載せることもできるというわけですね。しかし、多機能ですし動作時間はどうでしょうか

動画再生などの含めて、フルに機能を使いつづけると、二時間程度ですね。普通の使い方ですと、三〜四時間程度です。普通とはいっても、製品が製品ですので、普段の携帯よりはハードな使い方ではあるのですが。

ただ、あくまでもこれはコンセプトモデルであり、実際のハードウェアを開発するための一種の開発環境であるということは忘れないで下さい(笑)。

ちょっと失礼して電池を拝見させていただきます

普通のリチウムイオン電池です。容量も別段大容量というほどではありません。

なお、充電は USB端子(5pin mini)からできます

そうすると卓上ホルダはないわけですね

ありません(笑)

カメラの画素数は何万画素ですか

30万画素です。少ないと感じられるかもしれませんが、主たる用途としては、やはりテレビ電話というところが大きいと考えております。画面がQVGAであれば、30万画素で充分なんです。

それに、要望があれば、メガピクセルのカメラに差し替えるのはサイズの問題さえクリアすれば技術的に難しいところはありません。

ちょうど、SandGateII-Pが写っておりますが、ここは大きな差だ、というところがあればお願いします

SandGateII-Pでは、XScale の節電機能の一つである、周波数の動的変更を行っていません。
こちらのハードウェアではそれがちゃんと動くようになってまして、技術的には一つの売りです

とはいえ、まだ完璧とはいえません。例えば動画再生などのところで、もう少し詰められそうな感覚は持っています。このあたりを改善できれば電池の持ちなどももう少し良くできると思います

あとは大きさと見た目のカッコよさでしょうか(笑)
というのは半分冗談ですが、CFスロットがついているのは大きいと思います。というのも、今日ではCF対応の各種カードが出ていますので、これを生かして、ハードウェアの相性も含めて評価レベルで使っていくという新しいマーケットができるのではないかと考えております。

CFにも無線LANカードを差して、SGVPを無線LANブリッジにするというのはどうでしょう

ブリッジですか(笑)。論理的にはできると思いますが、OS が WindowsCEですからソフトウェアを書く必要があるでしょうね

いや、というより、向いてないと思いますよ(笑)

OS の話が出ましたが、Linux への対応はどうでしょう。XScale-freak でもSandGateIIへのインストール評価を載せています

お客様からの有形・無形の御要望という形でも、Linux の利用というのは大きな波になっていると感じております。

ただ、優先順位もありますので、現状はハードウェアの改良や、Windows CE, Windows Mobile 対応を中心にやっております。

結論から言うと、Windows CE用 の BSP, OALの部分をLinux 用に移植するということになります。現実的にはMontaVista 様が自社のLinux を動作させるためにポーティングされたことが今までのSandGate シリーズでもありましたので、今回も同様の形になると考えています。

しかし、この大きさにするだけでも大変だったのではないでしょうか

正直に言いますと、一通り動かすところまでは比較的スムーズでした。今回はパッケージングのためのデザイナーもおりましたので、作業を分担することで、効率よく部品の選定作業も行えたのではないかと思います。

SandGateシリーズをずっとやってますし、設計や基本ソフトウェアはすんなりできましたね。それに、これを作っているとき、「評価ボードってすごく役に立つなぁ」と実感してました(笑)

苦労するのはこれからじゃないかと思っています。もちろん、いきなりSGVPを作れ、では相当苦労したでしょうが、SandGateII や II-P というように段階を経ていますので。
それより今後のさらなるパワーマネージメント強化や、さきほどもちょっとありましたが、カメラの選定など、商用製品に向けての課題はこれからです。

最後にご自分のお仕事や、今後に向けてのアピールをお願いします

株式会社 ソフィアシステムズ 開発本部 開発部I部 主任 浅田 一成様

Intel 系プロセッサの評価ボードのハードウェア設計を主に行っております

しかし、最近では、OSのポーティングなどにも関わることが増えています。

以前はハード屋/ソフト屋的に役割も別れていたのですが、最近では、そういう分けかたは少なくなってきていますし、自分でやっていてもわかるのですが、ソフトもさわっていると ハードウェアも設計しやすいんですよ。

それに、ハードウェアを設計しながら、頭の中でソフトウェアの構想もできているので、結果的に開発期間も短縮できることになります。完全にきりわけるのもむずかしいですしね。

社内外から羨しがられるくらいに、チームワーク良く、フットワーク良く仕事ができるように心がけています。とはいえ、社外とのコンタクトも多いので、情報の取り扱いには細心の注意を払っています。

製品としても評価ボードから、半完成品という形に変化しつつあります。自分としてもどんどんそういう方向でビジネスを伸ばしていきたいと考えています

株式会社 ソフィアシステムズ 開発本部 開発部I部 狩野 昇一様

私はハードウェアというよりは、OS のポーティングを専門にやっています

基本的にはドライバ周りのコードを作り上げる仕事になります。

SGVPは案外すんなり動いた、と私も思っていますが、それでもドライバ周りではそれなりにハマっていました(笑)。概ね解決しましたが。それから、他の会社とのやりとりでも慣れの問題もあり、ちょっと苦労しました。

あと、Skype について一言ですが、Windows CE と Windows Mobile は全く思想の違うOS なので、Windows CE では現状、Skype が動きません。機種依存性が出やすいのです。これは作る側にとっては柔軟性ともなりますので、どちらがよいというものではなく、案件に応じて選ぶものとなります。

自分としては、まだ「まさにこれだ」というものを作りきれていないという思いはあります。是非ともそういう製品を作ってみたいというモチベーションはあります。 もちろん、それだけではなく、お客様の御要望に対して柔軟に対応することもできる体制であるという自負もあります

株式会社 ソフィアシステムズ 開発本部 グループリーダー 保坂 一宏様

インテル XScale ラインナップの評価ボード開発グループのリーダーをやっております。会社としては他のCPUもやっておりますが、XScale 関連は幅広くとり揃えておりますのでよろしくお願いいたします

最近では、開発マネージャの役割が多く、実際の設計などの開発業務はグループのメンバーに任せています。とはいっても、現場の開発では今の機種がメインになりますので、次機種のプロトタイプなどは今でもやっております。それからエミュレータ周りも多少・・・意外とやってますね。

ソフィアシステムズも会社としていろいろなものをやってきましたが、今後はこの分野をさらに伸ばしていきたいと考えております。

より具体的には、「お客様のビジネスモデル」ありきの評価ボードだけではなく、「新しいフレームワークの提案」という今回のコンセプトモデルのようなビジネスです。SGVPについても、今回のようなご提供方法だけではなく、もう少し進んだ方式のものも考えております。

それにより、お客様のエンジニアの方々が、短い期間で品質のよい製品を簡単に開発できるようになるお手伝いができると考えています

最後にキメポーズをお願いします

え、そんなことやるんですか、はずかしいなぁ・・・

表情がカタかったらすみません・・・

どうしてもやらなきゃだめですか・・・

と、いいつつSGVPを持ってポーズを取っていただきました。長時間に及ぶ取材に御協力いただきましてありがとうございます

企画・製作: XScale-freak.com 事務局 協力:株式会社 ソフィアシステムズ

文中に記載されている内容は情報提供を目的とするための取材時点(2005年12月)での現状であり、予告なく変更されることがあります。XScale-freak.com および、株式会社 ソフィアシステムズは、その内容について一切の保証を行いません。また、各社の社名・製品名は一般的に各社の商標または登録商標です。

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